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ずっとトイザらスキッズな、ある英語教師のブログ

9月入学・新学期について part 2

いよいよ盛り上がってきましたね。

私には思いつかなかったデメリットを、いくつか挙げている記事がありました。

news.yahoo.co.jp

まとめると、

1. とっとと今の学校を卒業して、次のステージに進みたい子どももいる。

2. 働いて給料をもらい始める時期も、半年後ろ倒しになる。

 また、半年間の学費、生活費が余分にかかる。

3. 来年の4月に見込まれる新卒の労働力が、100万人分減る。

4. この制度改正に人的リソースを割くべきなのか。他にやるべきことがあるはず。

なるほど、私には思いもよらない着眼で、考えさせられました。

一つずつ検討していきたいと思います。

 

1. とっとと今の学校を卒業して、次のステージに進みたい子もいる。

 確かにその通りです。私が勤める学校にも、数は少ないですが、学校が好きではない子は確かにいます。不登校傾向の子や、なんとか我慢しながら学校生活を送っている子にとっては、半年の延長というのは苦行かもしれません。

 しかし、そういった"学校嫌い"の子の立場になって今の状況を考えたとしても、やはりそれは望ましくないはずです。「やったー、学校行かなくていい!ラッキー!」という部分もあるでしょうが、「いつ始まるのかなあ、始まったらどんな感じになるのかなあ」という不安の方が大きいと私は思います。先行きが見えない不安が一番つらいんです。先行きが見えないから、私も今の生活に結構ストレスを感じています。先行きが見えないから、多くの大人が"自粛疲れ"と言っているんです。

 これは現場の感覚ですが、学校にうまくなじめていない子は、色々なことに臆病になりがちで、予測できない状態を極端に嫌います。5月連休明けから学校再開、という明らかに無理そうな予定で動いている現状、予測不可能な現状を打破することを、彼らも望んでいることでしょう。場当たり的に休校延長が繰り返されたり、学校の体制が十分に整わないまま再開したりする方がストレスのはずです。9月始業であれば、withコロナの形も考慮することで、ある程度計算が立ちます。そして決めることによって、そこに向けた準備を着実に進めていけるようになり、精神的にも安心できて、今の生活の質が上がるという効果もあるのではないでしょうか。

 自立しているがために、「学校なんてめんどくさい、早く卒業したい」と思う子も、いるかもしれません。このタイプの子にとっても、9月始業と決めてしまうことで、それまでの時間を有意義に使うことにつなげてもらえるのではないでしょうか。

 すでに大切な時間は奪われてしまっています。マイナスをいかに小さくするか、という問題なのです。

 

2. 働いて給料をもらい始める時期も、半年後ろ倒しになる。

 また、半年間の学費、生活費が余分にかかる。

 これもその通りですね。私の場合は、小中高大を9月新年度にして、企業・社会全体は4月新年度のままがよいと思っています。それで4月から働き始めるとしたら、給料をもらい始める時期は1年も後ろ倒しになります。

 こればかりは、できる限りの補償を国が約束するしかないですね。とはいっても学生にしわ寄せが来てしまうことは避けられないでしょう。

 ただ、今の学生の感覚はどうなんでしょう。"終身雇用"とか"定年65歳"とか"老後は退職金と年金で"とか、もう通用しなくなるわけで、この損失を神経質にとらえる人ははたして多いのでしょうか。教育を受ける機会が、中途半端な形で、ずるずると失われていっている現状の損失の方が大きいのではないでしょうか。難しいところですね。

 

3. 来年の4月に見込まれる新卒の労働力が、100万人分減る。

 これは少し疑問で、100万人分減るというのは本当なのでしょうか。なんかうまく言えないんですが…

 まず、来年4月採用に向けた就職活動って成立するんでしょうか。めちゃくちゃ大変そうですよね。説明会とか面接とか、コロナ対策をしながら進めないといけないのだから、半年準備の時間が与えられるのは、就活生にとっても企業にとってもうれしいのではないでしょうか。そもそも一括採用なんてばかげていると私は思うので、これを機に雇用の流動化を推し進めるべきだと思います。だから私は小中高大を9月新年度にして、企業・社会全体は4月新年度のままがよいと主張します。

 あと、そもそも人手不足の業界がどれくらいあるのか、という問題です。人員を削減したい企業にとっては、人手不足で困る、という事態は起こらないでしょう。

 ただ、確かに医療や福祉などの業界はどうにかしないといけませんね。現時点でも大変なわけですから。引退した人材を再雇用するとか、できる対策はあるんでしょうが、それで間に合うのかどうか。ここは大きな懸案事項です。

 しかしながら、例えば医学部に通う学生が、数か月分遅れてしまった内容を急いで勉強して、慌てるような形で卒業し現場に出てしまうとしたら、それはそれで怖いような気がします。本人も嫌でしょうし、社会全体にとってもマイナスだと思います。

 

4. この制度改正に人的リソースを割くべきなのか。他にやるべきことがあるはず。

 割くべきです。少なくとも、リソースを割いて検討・実行するに値することがらではあります。この議論の盛り上がりが証明しています。

 学校は今、何を目標にしていいかわからずに、"たぶんやるべきだろう"ことを、"手さぐりでやっている"という状況です。「9月新年度にするから、コロナがぶりかえしても対応できるような体制をそれまでに準備せよ、ついでに新しい時代の教育を模索せよ」という号令があれば、確実にやるべきことを、十分に時間をかけてやることができます。

 

何よりも重要なのは、

9月始業であれば、withコロナの形も考慮することで、ある程度計算が立つ。そして決めることによって、そこに向けた準備を着実に進めていけるようになり、精神的にも安心できて、今の生活の質が上がる。

ということです。これは子ども、家庭、学校の先生のすべてにあてはまります。

そして

・子どもたちはすでに、かけがえのない時間を奪われているということ(マイナスをいかに小さくするかという問題であるということ)。

・コロナがなかったとしても、9月新年度にはメリットがあるということ。

これらの点を考え合わせたら、やるしかない、と思うのです。