大村はま『教えるということ』
けっこう前に一度読んだんですが、再読しました。
教師の間で脈々と読み継がれ、「永遠のバイブル」と呼ばれているらしいです。
いやほんと確かに名著です。グサグサ刺さりまくりで、読んでてつらいほど。
教える立場にいる人は絶対読むべきですね。私は何度も読み返すことになるでしょう。
大村はま先生のことばが、とにかく厳しい。
プロとしての覚悟がものすごいです。それがもう写真を見ると顔からにじみ出ていて、何というか、写真ごしでもこちらの背筋が伸びるような感じがいたします。
内容は、ある若手教師向けの研修会における講演を書き起こしたものです。簡単に言えば「教員は勉強し続けなければならない」とか、「常に自律的、自己批判的であれ」とか、「甘っちょろい『やりがい』なんてくそくらえだ」とか、そんな感じのことを言っているのですが、私のことばで言い換えると全然ダメですね。読んでください。
戦前から教壇に立ち続け、生涯「実践者」であり続けた、というのがまたカッコいい。あくまでも現場で「ことばの教育」を実践することにこだわったのは、本当の意味で教師という仕事に誇りを持っていたからでしょう。
授業がとても上手だったことが、ご本人が本書の中で言っていることや、教え子の方々の証言を読むだけでひしひしと伝わってきます。具体的にどんな授業を実践していたのか、今度の休みにでも研究してみようと思います。
さて、本書の中で、「個性」について面白い記述があります。
教師はプロ、子どもはあくまでも子ども。教師は自らの手引きや範をもって、子どもを"指導"すべきです。
個性なんてものは、大村はまさんがいじったくらいでは変わりません。神様がくださったものですから。
養老孟司も同じようなことを言っていたような気がします。
個性はたしかに大事で、子どもたち一人ひとりを人間として尊重するのはあたりまえなんですよね。それがなぜか変な方向に進んでいって、傍若無人な言動が肯定されたり、過度な放任主義をよしとしたりする風潮は、強まるばかりです。
教師は"範として指導する"人間でなければならない。そのために研鑽を積み重ね続けなければならない。子どもたち一人ひとりを尊重し、向き合うのはあたりまえ。
自らを省みると、ただただ情けなくなります。
「個性」とか、「やりがい」とか、聞こえのよいことばに逃げずに、あるべき姿を常に追い求めていかねばなりません。